きまぐれ獣医学生の無駄話

獣医学生が気になることを書いてるブログ

Welcome to Mudabanashi of the veterinary student.

アレルギーの4つの型

Q.アレルギーとは何か答えよ。

 

 

急に言われてもなかなか完璧な答えって出ないですよね。

 

アレルギーとは、外来性抗原に対する過剰反応や自己抗原に対する免疫寛容の破綻の結果生じる組織障害である。

以上が完璧な回答です。

外から来たものに過剰に反応して何か障害が生まれる、もしくは自分の組織を自分で傷つけてしまうことですね。

さらにアレルギーは発症のメカニズムの違いによって4つに分類されます。

今回はその4つをそれぞれ紹介したいと思います。

 

 

Ⅰ型アレルギー

機序

Ⅰ型アレルギーとは外来性抗原に対するIgEが多量に産生されることによって生じる過敏症です。

外来性抗原が体内へ侵入し異物と認識されると、それに特異的なIgE(抗体)が多量に産生されます。

IgEは結合組織へ拡散し、マスト細胞(肥満細胞)に結合します。

このマスト細胞は、IgEが特異的な外来性抗原によって架橋されることによって活性化し、ヒスタミンセロトニンなど化学伝達物質を放出します。

f:id:kimagulevet:20180612205930p:plain

この反応が局所だけでなく全身性に転じるとアナフィラキシーといい、血圧低下や気道収縮などのショック状態になる。

重要な疾患

犬のアトピー性皮膚炎(CAD)

 

Ⅱ型アレルギー

機序

Ⅱ型アレルギーとは、細胞膜や細胞外基質に含まれる自己抗原にIgGやIgMなどが結合することで生じる過敏症である。

抗体が細胞に結合した場合、補体の活性化を介してオプソニン化が生じ、マクロファージや好中球などの貪食細胞によって組織障害が起こる。

 

f:id:kimagulevet:20180614175600p:plain

重要な疾患

免疫介在性溶血性貧血、天疱瘡、重症筋無力症

 

Ⅲ型アレルギー

機序

Ⅲ型アレルギーとは、抗原抗体複合体が組織に沈着することによって生じる過敏症である。

生体内における抗原抗体複合体の生成は通常の免疫反応であるが、これらの抗原抗体複合体が除去されずに蓄積すると、血管壁、腎臓の糸球体または滑膜などに結合して炎症が起こる。

 

重要な疾患

全身性エリテマトーデス(ヒト、ウマ、イヌ、ネコ)

 

Ⅳ型アレルギー

機序

Ⅳ型アレルギーは、T細胞が細胞障害を引き起こす過敏症である。

Ⅰ~Ⅲ型は抗原と抗体が介在した組織障害であるが、Ⅳ型はCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)もしくはCD8陽性T細胞(キラーT細胞)が関与する。

 

CD4陽性T細胞はマクロファージから抗原提示を受け、マクロファージや好中球の貪食細胞に対しサイトカインを産生する。サイトカインによって活性化された貪食細胞が指定された細胞を破壊し、組織を傷害する。

f:id:kimagulevet:20180615112158p:plain

 

 

一方で、CD8陽性T細胞は、抗原提示を受けると指定された細胞に直接アポトーシスを誘導する。

f:id:kimagulevet:20180615113330p:plain

 

重要な疾患

 接触性皮膚炎、関節リウマチ、Ⅰ型糖尿病

 

 

以上がアレルギーの4つの型です。

実際は単一の型のみで病態を解明することは困難であり、複数の型のアレルギーが混在することが多いです。