PDE阻害とは
真面目な話。
チョコレートについての記事でテオブロミンはPDE阻害であると言いました。
チョコレートの記事→http://www.kimagule-vet.com/entry/usinichocolate
今回はPDE阻害についてちょっと真面目にさらっとまとめちゃいます。
PDEとセカンドメッセンジャー
PDEとはホスホジエステラーゼです。
PDEはcAMPおよびcGMPを分解する働きがあります。
cAMPとcGMPってなんやっけ?って方!!
このこ達はセカンドメッセンジャーと呼ばれ、細胞内での情報の二次的な伝達を担当してます。
図中の細胞機能の変化について末梢では、心筋収縮力の増加、末梢血管拡張作用などがあります。
PDE阻害とは
先ほどの説明の通り、PDEはcAMPとcGMPを分解します。
PDE阻害とはこの働きを阻害します。
つまり、cAMP及びcGMPが分解されなくなるため、細胞内のcAMP及びcGMPの濃度が高くなります。
これにより、先に述べた細胞機能の変化が過剰に起こります。
ちなみに、このようなPDE阻害の作用をもつカフェインやテオフィリン、テオブロミンはキサンチン誘導体と呼ばれています。
このキサンチン誘導体は、中枢神経おいて大脳皮質の興奮作用が確認されています。
これによって覚醒作用なども生じるわけですね。
軽くまとめるとこんな感じです。
参考程度に。。。笑
牛にチョコレートを与えても死なない?!
チョコレート
甘くておいしいですよね。
私も大好きです。
突然ですが、私からここで簡単な問題です。
Q.犬にチョコレートを与えて良いか。
いや、簡単すぎんだろ。
そうですか、皆さん物知りですね。
そう、
答えは NO ですよね。
では、NOである理由までこたえられますか?
これは少し難しいですよね。
さらに、犬以外ではどうなのか。
これもなかなか知ることはないですよね。
よって今回は以下の内容でお送りします。
テオブロミンの話
犬にチョコレートがNGなのは、なんとなく砂糖とかいっぱいだからダメなんじゃないか、と思う方もいらっしゃると思います。
もちろんそれも良くないことですが、糖分過多で即致命的な症状を示すわけではありませんよね。
では、なぜここまで犬にチョコレートはNGということが言われいるのでしょうか。
チョコレートにはカカオ由来のテオブロミンという物質が含まれています。
ちなみに、テオブロミンはホスホジエステラーゼ(PDE)阻害の作用をします。
↓PDE阻害にビビッときた方はこちら↓
http://www.kimagule-vet.com/entry/pdesogai
このテオブロミンは皆さんもご存じ、カフェインと似た働きを示します。
カフェインを摂取すると、生体は興奮する方向に向かいます。(眠気覚ましとかでよく飲みますよね)
実感しやすい点で言えば、利尿作用などもあります。
これらは、コーヒー1~2杯など、生体のカフェイン摂取許容量に対し、極少量であるため、このような作用で収まっているのです。
言い換えれば、摂取量が限度を超えたとき、生体に異常が起こるというわけです。
犬とテオブロミン
結論から言いますと、人間とは異なり、犬はテオブロミンを分解しづらい生物なのです。
人間はテオブロミンを摂取しても直ぐに分解できるため、テオブロミンの効果は薄いですが、
犬はテオブロミンの分解が遅いため、体の中にテオブロミンが存在し続けるわけです。
すると、テオブロミンの効果が過剰に働き、
嘔吐や神経障害、興奮、神経衰弱、口渇、運動失調、下痢、利尿、過温症、最悪の場合死に至ることもあるということです。
牛にチョコレートをあげる
と、どうなると思いますか。
やはり、犬と同様に良くないことでしょうか。
いいえ、なんと、肉質が良くなるという報告がオーストラリアであがっています。
まだまだ理由などは解明されていないのですが、非常に興味深い結果であると思います。
さらにさらに豚では、脂肪色の明度を高める効果が報告されており、飼料資源としての活用が期待されています。
こちらは論文にもなっていますので、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。
以上が今回のお話になります。
チョコレートの話になったときには、是非この雑学を披露して頂ければと思います。
チョコレートうっま。
獣医学生が獣医学科をざっくり解説する
獣医学科を開設する
あ、解説ですね。間違えましたすいません。
開設といえば、岡山理科大学に獣医学部が新設されましたね。
設立に関してなにかともめてる部分も多いですが、世間的にはどうなんでしょうか。
我々、獣医学生からすれば言いたいことが多々ありますが、
今回は解説なので深くは触れませんね。
獣医学科を解説する
改めて、自己紹介がてらさらっと解説します。
青春真っ只中の高校生にも知ってほしい内容にもなってるので、以下の3点でお送りします。
- 獣医学科に入るには死ぬほど勉強する?!
- 獣医学科は忙しい?!
- 卒業後の就職先は?!
獣医学科に入るには死ぬほど勉強する?!
しません。
(医学科に入るほどは)しません。
自分たちの時代ではセンター80%程度でC判、85%あれば受かるような感じでした。
二次は?みたいな声が上がりそうですけど、そもそもセンター85%超えて来る人たちって、そこそこ勉強してるので、二次の心配要らないです。
ただ、これから入試の制度も変わりそうなのでなんとも言えないですが、難易度自体は対して変わらないと思います。
え?
たいして勉強しなくても受かるって??
そういうことじゃないんだな。
凡人でも多少努力したら受かるって話よ。
模試の結果が悪くても簡単に諦めるようなことは必要ないってこと。
本気で目指しているなら頑張りたまえ。
獣医学科は忙しい?!
忙しいですね。
ただ、日々過ごしている中では特に感じませんけどね。
帰省したときに、文系の友人の話とか聞くと実感します。
というより絶望します。
獣医まじ卍
テス勉やろ
卒業後の就職先は?!
多分、これが世間との乖離が激しい事柄だと思ってます。
獣医っていわれて何を思い浮かべますか?
恐らくこれじゃないでしょうか。
毎年1000人ほど、獣医師国家試験を通る人がいるのですが、
このような小動物臨床の獣医師になる人は400人ほどです。
つまり、残り60%は違う職業に就いてるのです。
家畜保健衛生所などの地方公務員、農林水産省などの国家公務員、牛や豚などを診る産業動物臨床の獣医師、水族館などに勤務する獣医師、製薬会社に勤める獣医師、などが挙がります。
この就職先で問題となっているのは、産業動物関連の獣医師が少ないことです。
「じゃあ、獣医学科を増設して、母数増やせばいいんじゃね?ちょっと知り合いに興味ある人いるから作るよう頼むわ。」
名案ですね。
「いやいや、獣医増えたら私らの特別感薄ますくね?それより待遇良くした方がいいよ!」
確かに。
私の意見としては、
おっと。
誰か来たみたいだ。
この話はまた今度おねがいしますね。
それでは失礼します。